LinuxマシンでLabVIEW(その1) 井上 泰典 1.はじめに Linux、 FreeBSDに関する出版物も多くなって、最近は、近所の本屋でもPC−UNIXのコーナーが ある。本誌が店頭に無いという本屋にさえ、PC−UNIXのコーナーがあるというのは、何か面白い。住 んでいる住宅街の一角の本屋ですらこんな風なのだから、ご近所はもちろん日本中にPC−UNIXのスー パー・ユーザーがたくさんいるにちがいないと思ってしまう. そうは考えたものの、Windowsに変わって、Linuxマシンを実際に活用しているという話を聞いたこ とは残念ながらあまりない。 実際にLinuxをパソコンにインストールし、Xウィンドウをセットし、WindowsのGUIよろしくLinux マシンに向かう。しかし、そこには、遠い昔、MS−DOSのころに慣れ親しんだエディタの世界と、ス クリーンセーバーにしかならないような安っぽいゲームの世界があるだけである。 まずは、ここで落胆し、スタンドアローンでLinuxを使おうとした己の無謀(?)さに否応無しに 気づかされ、やっぱり所詮はパソコンの世界か!と反省することになる。 Linuxをパソコンにインストールことというのは、Windows2000がWin98の後継だと思ってインス トールしてしまうことよりも、もっと変なことで、やってはいけないことの部類に入る行為かもしれ ない。 ネットワークに接続し、Linuxサーバーを稼動させると、数年前まで高価なワークステーションで しか触れ得なかったUNIXの世界で遊ぶことができる。 今回、利用したネットワーク環境は、@勤務先の5台以上のNTサーバーを中心にしたクライアント 200台程度のLAN、そして、A自宅の自作DOS/V、Mac、ジャンクマシン数台(いたずらに電気代ば かりがかかり、奥様の不興を買っているLANである。)、これらのネットワークの中に、Linuxサーバー を設置して、LabVIEWをインストールして使っている。 | |||
LabVIEWをセットした自宅のLinuxサーバーは、7千円で購入したジャンクいうより粗大ゴミ(リー スアップ)である。主なスペックはPentium90、メモリー32MB、HDD720MB(手持ちの4.3GBに取替え) といった。今となってはお粗末なもので、NIC(LANカードISA 3com 3c509)も、適当にそこらに余っているものを差している。 これでも、Linuxで「普通に」LabVIEWを実行するには十分なスペックである。 | |||
LabVIEW for Linux開発システムは日本ナショナルインスツルメンツから、現在販売中である。 (\322,000) Red Hat Linux6.1をセットしたマシンにLabVIEW for LinuxのCD-ROMをセットすると、ファイルマネージャーに、CD-ROMの内容が表示される。(図1) 少し前までは、”mount -t iso9660 ...”というふうに、CDのマウントを実行したものだったが、 今やその必要は全く無い。クライアントからtelnetで、LabVIEWをインストールする時さえ、いちい ちmountを実行する必要がなくなっている。 2.LabVIEWのインストール 肝心のLabVIEWのインストールはというと、Installファイルのアイコンをダブルクリックするだ けでインストールが完了してしまう。Configure, make, make installといった一連のインストールの手順が不要になっている。 どうしてもGUIでインストールするのに抵抗があるといったユーザー向けには、./INSTALLという 手段もある。が、これは、デスクトップでinstallファイルをダブルクリックしたのと同じことであ | |||
る 。LabVIEWはデフォルトで/usr/local/lv51にインストールされる。
Linuxには、多種のディストリビューションがあり、Linux版LabVIEW実行に必要な環境は、 Linuxカーネルバージョン2.0.xまたは2.2.x、インストールに必要なハードディスクの容量は、 Adobe Acrobat フォーマットのマニュアルとオンラインヘルプを含めて最大149MB、最小インストー ルは49MBである。 NI(ナショナルインスツルメンツ)のリリースノートでは、 RedHat 5.0、SuSE 6.0、Caldera OpenLinux 1.3、Debian 2.0以降のRedHat系ディストリビューションが推奨されている。これ以外のディストリビューションでも、glibc2がインストールされてい ればよいようである。 RPMコマンドで先ほどの/usr/localではなく、別の/optディレクトリにインストールしたければ、 次のコマンドを実行する。 rpm --prefix=/opt -Uvh labview-app-6.0.i386.rpm labview-examples-6.0.i386.rpm これで、LabVIEWとexampleをインストールされることになる。
3.LabVIEWの実行 インストールを終えて、さあ実行という時になって、本当に動くのだろうかという不安が起こって くる、というのも、Linuxはフリー(タダ)のOSなわけで、「タダほど高いものは無い」という台詞 が頭をよぎるからである。 | |||